最初の精算

今日付けで大学に退学届を叩きつけてやりました!
とカッコよくそして威勢よく言ってみましたが、実際は申し訳なさそうに「あの・・・お願いします・・・」とお行儀よく提出してきました。
かなり事務的に淡々と、閑散とした夏休みの教務課で僕の人生を変えることになる紙は受理されていきました・・・。
11月になったら退学が完了した旨の通知が実家へ行くそうで。まあとりあえず学校はこれで退学ということになりました。


6月に退学を決めてから色々思ってきましたが、やっぱり退学は正解だと思ってます。
だけどその一方で後ろ髪がまったくひかれないわけでもないです。ま、人としてこれは当たり前の心情だと思いますけど。
昔思い描いてた普通のレールからゆるやかに脱線してきた3年半でしたが、ここで完全に元には戻らなくなったわけですね。
音楽の道を志してからうすうすどこかで今日がやって来ることはわかっていたんですが、あっさりしてました。
多分悶々としてるのは俺だけ。これによって学生の身分は剥奪されて、今はまだ職探し中なので無職です。悪いことできません。
お金も底をつく頃なので、もうあと10日が限界ってところでしょう。
ここまでしんどい思いしてまでやることなの?とか、失敗したらどうすんの?とか、やっぱり考えます。
心がかきむしられてる感じです。でもやることは一つです。


一度こうした奈落の底のようなところまで落っこちないとおそらく説得力なんかない。
金持ちのボンボンが自称アーティストを騙って悠々自適に孤独だとか絶望だとか
終わりだとか抜かしてもしょうがないでしょ。だからと言って希望とか言われてもねえと。いずれボロがでるし。
人にはそれぞれそれ相応、まさに身分相応の表現方法があるような気がしてるなあ。やるなとは言わない。
底まで知ってる人ほど後ろ向かない気がするんです。言葉にすることさえ嘘みたいというか。
たかが大学辞めたくらいでこう思ってるわけじゃないし、俺より悲惨な目にあってる人なんぞいっぱい居る。
下も上もどこまで見たってキリがない。だからやっぱり悲しめない、でも本当は嘆きたい。
耐え切るほど強くもないからとりえあずこんなところで愚痴るだけ。というか気持ちの整理をしてるだけで。
まあ結局俺はただの凡庸な愚か者であって、不運を語るほどの地獄を見たわけでも、すべてを肯定できるほど素敵な楽園を見たわけでもない。
こうやって後ろ向いて色々言ってるのは底ではないから、愚痴れる余裕があるんだと思う。まだなのか、もうなのかはわからない。
上でもなく下でもないが、変な感情を抱えながらそこにやきもきして爆発しそうになるんだけど、結局は幸せものなんだと思う。
こうなれるだけ幸せ。こういう風に愚痴ったり出来るだけまだいい。
でもこれも先に言われてることで、不幸もハピネスだろうって。説得力がないようである人に俺もなりたい。
それこそが本物の条件な気がしてる。してるだけだから当てずっぽうもいいところなんですけど。


まあ例えば楽器を演奏したり、作曲したり、詞を書いたりなんていう
一種の特技を体得してなかったら、って思うともっとゾっとするのは事実。これがあるからまだマシなもん。
ぼやぼやしてて大学行かなかったわけじゃない。でもただぼけっとしてて大学をやめざる得なかったら?って考えるともう終わりだ。
争いはやめようとか言われても、とどのつまり世の中なんて競争しかないじゃん。それってスタートを切るのが速いほうが有利だよ。
今からなんかしようとすると人の3倍速くらいで走らないといけない。
俺は始めるのが多分遅かったほうだと思う。高校生になるまでベースの存在を知らなかったレベルですからな。
まあそんな田舎の疎い少年が今日までの5年ちょっと人より速いペースで成長しなきゃいけないって自分に脅されながらやってきたわけだけど。
それが今後功を奏してくれるのか、その情熱はただのゴミになるのか。
怖いんだなあって感じる。ある日突然大事にしていたものが実はゴミでしたと宣告されたらと思うと。
その前に薄々気づくとは思うけど、今のところはまだ宝であるとは思える。
だから大事にしていきたい。ゆっくりはいけないけど、心は穏やかにしていきたい。
とりあえずここで一区切りついたなあって思って、少しだけ違う風に期待できるかもしれない。